2021年都立高校一般入試解説【数学編】

千石教室の南です。

都立高校の一般入試が終わりました。

まずはみなさんお疲れ様でした。

コロナ禍という異例の環境の中で、試験範囲も変わり、異例尽くしの入試となりました。

まずはここまで逃げずに試験に立ち向かったことを自分で褒めてあげてください。

推薦入試で終わるのではなく、一般入試まで戦い抜いたという事実は、間違いなく今後の財産になります。

 

さて今回は都立入試の数学について、少し分析をしたいと思います。

まず都立入試数学の素晴らしいところは

幸運にも「王道の問題である」ことです。

難問・奇問という類のものはほぼありません。

教科書ワークのレベルの問題を中心に王道を突いてきます。

つまり、小手先のテクニックは不要です。

真面目に問題演習に取り組んだ生徒なら、確実に8割を狙える試験ですから、皆さんも王道の勉強を貫いてください。

 

【大問1】難易度:すべて易

例年どおり計算・作図問題。

満点を取りたいところです。

唯一、問9の作図については、若干手が止まった人もいるかもしれません。

垂直二等分線は2点からの距離が等しい点の集合であり、角の二等分線は2直線からの距離が等しい点の集合であるという、教科書レベルの本質を抑えることができていれば、すぐに落ち着きを取り戻せたかと思います。

ただ手が止まってしまった人は後回しにしてもいいですし、最悪落としてもいいでしょう。

 

【大問2】難易度:易

例年通り長文を読んでいく問題でした。

一見、とっつきにくく難しいものかと思いきや、実はかなり簡単な問題でした。

証明に関しても、求めるべき面積の部分は、ほぼ教科書ワークの章末問題のAレベルであり、

証明の書き方さえ間違わなければ短時間で解けたはずです。

ここは満点を取りたいところでしょう。

 

【大問3】難易度:問1、問2は易、問3は標準

一次関数の問題です。

問1、問2については簡単ですね。確実に取りましょう。

問1はyに数字を代入するだけ、問2は点pの座標を出して、点Pと点Aの2点間の直線の式を出すだけなので、定期試験レベルの問題です。

さて問3ですが、定番の「等積変形」をして面積を求めるのか・・とおもいきや、若干違った角度から、問われている問題と言えます。

まず図をしっかり観察しましょう。あきらかにAP//BQというのが見えてくると思います。

ここに気づかない人は勉強不足です。

で、今回、求めるべきはpの座標。

ということで、「求めたい点のx座標を tと置く」という定石を使いましょう。

そうすればQの座標もtで表せます。

その上でAP//BQという条件を「APの傾きとBQの傾きが同じ」という条件に読み替えてやれば

tの式が立てられると思います。その方程式を解けば解にたどり着きます。

若干ひねっているのですが、「求めたい点のx座標をtと置く」という、

塾で一度は聴いたことがある方法さえ使えれば、答えにたどり着きます。(過去問でもあります)

難易度としては、ワークの章末問題のB問題レベルといってもいいでしょうか。

決して難問ではありません。

とはいえ、初見で悩んだ人は、飛ばしてもOKでしょうし、志望校が中堅校レベルであれば、落としても問題ないでしょう。

 

【大問4】難易度:問1、問2①は易 問2②は難

問1は円周角の基本問題。確実にとりましょう。

問2①は二等辺三角形の証明です。久々に出ましたね。都立の証明といえば、合同・相似の証明が多いですからその準備していた人が多いでしょう。すこし裏をかかれたかもしれません。

しかし二等辺三角形の証明は、底角が等しいこと、もしくは二辺が等しいことをいえばいいだけですから、むしろこれまでより楽と言えます。

今回は円周角の問題なので、前者の戦略を取るという方向を決めれば簡単でしょう。

さくっと解きたいところですが、これまでと傾向が違ったことを考えれば少し平均点がさがると思います。

 

さて、問2②についてですが、今年の問題の一番の難問だったといえます。

しかも、これは三平方の定理を使ったほうが、早く正答にたどり着いたと思います。

今回はコロナの影響で三平方が試験範囲から除かれたにもかかわらずこの出題というのは、少しひっかかりますが、当然三平方を使わずに相似を使って解くことができます。

ただ、あくまで都教委のリリースでは、「三平方の定理は必ず学校で教えて下さい、ただし試験範囲にはしません。」という説明なので、「別に三平方でやっちゃいけないというわけじゃないよ」という、都教委のシビアなメッセージが込められているという理解もできるかもしれません。

さてこの問題のコツは、各辺の比が1:2:√5という相似の直角三角形が図の中に至る所にあるので、それを探していきながら、辺の比を求めて面積を出していくという、相似と面積比の問題でした。

数分かけても迷うようだったら、さっさと飛ばすのが吉と言える問題でした。この問題は平均点はかなり低いと思います。

数学が苦手な人は、この問題に時間をかけないことが必須だと言えます。

ただ問題としては、極めて良問でした。

 

【大問5】難易度:問1は易 問2は標準

問1はねじれの直線を探す問題でしたが、皆さん解けましたでしょうか?

これって、中1の範囲ですね。

しかもこういう問題は、ワークの基礎中の基礎の問題として必ず例題にありますが、意外とおろそかにしていませんでしたでしょうか?実際、受験直前に対策をする問題ではありませんよね。

というわけで、「基本に忠実、かつ本質を問うている」という意味で

私、個人的には、この作問者に、賛辞を送りたくなるほどいい問題でした。

 

間違いなく教科書に載っていて、学校で教わっていない中学生はいないけれど、

「ねじれ」の定義を聞かれると、数学が得意な人でも意外と答えられないものです。

「ねじれの位置にある」とは、「平行ではないけれど交わることのない2直線の関係」ですよね?

その通りに解けばいいだけですが、正解の「5本」にたどり着いた人はどれくらいの割合でしょうか?

数学が得意な人でも結構落としているのではないかと推察します。

問2は、例年難問が予想される体積の問題でしたが、立体図形が想像しやすかったこと、さらに高さも、すぐに図の中で探すことができるという点で、例年よりはるかに簡単でした。

大問4の問2②に時間をかけるよりはこちらに時間を割くべきでした。

 

 

さて、ここまで各問題を見てきましたが、易レベルの問題を合計すると7割に到達しますし、標準レベルの問題に手をつけられれば、多少のミスがあっても8割に到達することは十分可能と言えます。

繰り返し言いますが、今回の問題を見てもわかるように、都立高校入試の数学は、

小手先のテクニックではなく、王道を突いてくる素晴らしい問題が多いです。

数学に関して言えることは、

「都立高校に合格するには、学校の勉強をしっかりし、ワークレベルの問題集を確実にものにすること」といえるでしょう。

逆に言えば

「変わった難問・奇問のある問題集には手を出さない」ということが大事かと思います。

 

来年受験生の皆さんは、ぜひ今年の問題を見てみてください。

 

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