β崩壊は、実体が電子である放射線のことですが、
実体が電子であることから負電荷を持つことは容易に理解できます。
しかし、「なぜ放射線を放出した物質の原子番号が、1つ大きくなるのかわからない」
という質問を時折受けることがあります。
原子番号が増える理由がイメージできないのは、
おそらく元の物質の原子核を取り巻く電子が放出され、β線となると考えているからだと思われます。
確かにその場合、原子核は不変と考えられるので、原子番号(陽子の数)は変化しません。
しかし、実際は、原子核を取り巻く電子が放出されるのではなく、
原子核の内部にある中性子から負電荷を持った電子が放出されるために発生するものなのです。
そして、電子を放出した中性子は正電荷を帯びることになり、これは陽子となるわけです。
よって、原子番号が一つ増えます。
中性子 → 陽子 + 電子(β線)
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