千石教室の南です。
さて2020年度都立高校一般入試の分析をしたいと思います。
大手塾ではありませんので、すべてはできないでしょうが、徐々にアップしていきます。
まずは社会から。
というのも大学受験までを見据えると、英語・数学の勉強がメインになるのは当然なのですが、最近、社会の勉強方法について質問をうけることが多いからです。
英数が大事とは言っても、試験の配点はすべて同じなわけで、他の科目も侮れませんね。
特に定期テストのように覚えたことを書き出すといった試験ではありませんから、勉強方法がわからないというのもうなずけます。
ただ一つ誤解してほしくないのは、
「暗記が不要だというわけではない!」
ということです。
思考力・推論力を試される試験が大学・高校受験で増えているとはいえ、それは基礎力があってのことです。
「暗記だけでは解けない」ということと「暗記は不要」ということは、全く別物です。
いわば暗記は、問題を解くための必要条件となっているにすぎません。
特に大学受験で文系学科への進学を考えている人は、地理、歴史の知識の「暗記」という作業は必須です。
覚えるべきことは繰り返し読み、書いて、言って、覚えましょう。
基礎的な知識に加え、都立入試については、
問題文を精読する力
が求められます。文章量は多いですが、ヒントが隠されているのも事実。
都立中高一貫校の入試問題に共通しているかもしれませんね。出題者のメッセージをしっかり読み取りましょう。
では社会について講評をします。
全体的にいうと、
「一部に難易度の高い問題が出たが、昨年と変わらないレベル」
だといえます。
では各問ごとにいきましょう。
▼大問1(満点狙うべきです)
問1・・易 これは落としてはいけません。右に何が見えるか、左になにがあるか、またどこに砂浜があるかだけで解けるでしょう。
問2・・易 たとえ知識がなくても、古墳ですから近畿地方がメインなわけです。それだけで選べてしまいます。
問3・・易 国連の章で安保理は、必ず習う知識ですね。
▼大問2(1ミスで済ませましょう)
問1・・標準
「半導体」「世界的な情報分野の企業」というキーワードに反応しましょう。「シリコンバレー」とわかればカリフォルニアの位置を導けるでしょう。また気温や降水量のグラフについては、説明文だけで解けてしまいます。
・「一年を通して過ごしやすい」→気温差がすくないのだから、平たいグラフ。本命はウのグラフ。アも可能か。
・「冬季は温暖」→アは冬は5度近く。これでは温暖といえない。よってウが導ける。
問2・・易
アですが、高速道路やハイブリッド車と言われても、わからないでしょう。仕方ないです。ただ「海峡」とありますから、国としてはQかSしかありません。しかも「熱帯」とありますからQの可能性が高いなと思って、次の問題に移りましょう。なお、答えはQで正解です。イは、パンパに反応しましょう。南米の国しかありませんよね。しまも陸続きであることがわかりますから、それもヒントになります。ウは酸性雨に苦しむ西ヨーロッパという知識があれば解けますが、微妙であれば飛ばして構いません。エは。欧州と時差がなく、非アジアなわけですから、同じ経度をたどればR(南アフリカ)しかありません。地図をみれば解けてしまいます。
問3・・標準〜易
文章が長いだけです。解くのが少しだるいと思うかもしれないですが、難易度は全く高くありません。
・3の文章に雨季、乾季とあるので東南アジアかなと絞れる人はすぐ答えがでますが、それに反応できなくても日本と中国と 関わりが深い、進出企業が倍増となれば選択肢の中ではタイしか可能性がありませんね。またデータの問題ですが、「進出日本企業数が2倍以上」とありますから、2倍〜3倍の間の数だけ増えているものを探せばいいです。497→1177となっているアしかありません。そして実際、貿易相手国に日本と中国が入っていますから矛盾ありません。
ほぼ知識不要の、問題文が長いだけという問題です。
▼大問3(満点を狙えます)
問1・・標準
イのリアス式海岸という言葉で、東北地方の県を選んでしまった人もいるかもしれません。これはひっかけです。リアス式海岸はいろいろな場所にあります。しかもメインは岩手県ですからね。要注意ですね。
さて解き方としては人口からみていくのがいいでしょう。100万人超えの都市は2つですから、仙台(宮城県)と広島がアかウです。アの路面電車、三角州で広島と反応するか、ウの西側に位置する山脈というキーワードで広島はありえないと反応しましょう。
残りの選択肢ですが、エが楽でしょう。シラス台地、火山で九州の鹿児島だと反応しましょう。イはメガネが福井県だとわかるのであれば、しっかり勉強できている生徒でしょうが、消去法でも結構です。
問2・・易
地図の読み取りです。ほぼ常識で解く問題です。標高は50までしか見当たりません。また風邪は海から吹くとあるので西からですね。
あと畑や果樹園の地図記号がわからなくても、選択肢は「ア果樹園・畑」「イ水田」となります。地図上空港があった場所は複数のマークが混在していますから、水田だけという選択肢は不自然ですね。全く知識がなくても溶けてしまいます・・・ちなみに水田は空港の東側にあります。
問3・・標準(易)
知識はほぼ不要の記述問題。
津波の被害を防ぐため海から離れたところにつくる。そして渋滞をへらす。問題とデータに書かれている指示通り、その2点を書きましょう。きわめて普通の問題です。
▼大問4(1ミスが理想。2ミスでも許容範囲です。)
問1・・標準
年代暗記はこの問題では不要ですね。アは大宝律令で飛鳥、イは室町、ウは鎌倉時代、エは国分寺で奈良時代とわかれば容易です。国分寺はわかったでしょうか?引っかかる要素はそれくらいですね。
問2・・標準
書院造が室町時代なのは大丈夫でしょうか。なのでイですね。また慈照寺は銀閣寺のことなのですが、そもそも室町の文化ですから京都のBを選べるでしょう。書院造さえわかれば正解が導けます。
問3・・難
これは正直、捨て問です。間違っても気にしない。
文章に浅間山噴火がありますね。で、その当時は田沼意次の改革の時代ですね。で、選ぶべきはそのあと4年後から10年後の出来事となっていますので、松平定信の寛政の改革の選択肢を選ぶべきでした。すべての知識が正確でないと、選ぶべき時代がわからない構成です。
寛政の改革ですから、エとなりますね。再度言いますが、これは歴史好きなら解けますが、苦手な人は気にしないで結構です。
問4・・標準(難)
アとエの選択肢はすぐ切れるでしょう。アは第二次世界大戦中、エは明治初期ですね。イとウで迷った人もいると思います。
官営の八幡製鐵所は日清戦争の賠償金がもとになっているということはご存知の人も多いと思います。だから日露戦争時代にはすでにが動いていたことを知っている人であれば1910年にはすでに製鉄所は開業しているわけになるわけですから、イは不適切ですね。また大正時代に文学作品が広がり大正デモクラシーが開花したことを知っていればウが正解なのも納得ですね。
▼大問5(満点を狙えます。)
問1・・易
内閣に関わる、公民の基礎知識です。イは問題文中に「議院」とありますから当然議会のことですね。ウは人権規定です。エは地方自治についてですから内閣は関係ないですね。
問2・・易〜標準
Bは簡単でしょう。衆議院の解散というフレーズは聞いたことがあるでしょう。一方、Aは少し迷ったかもしれません。大統領は議員ではないですから(日本の総理大臣は議員でもある)立法はできないのですね。
問3・・易
簡単な問題ですが、問題文をしっかり読みましょう。なんとなくで考えていると、他の選択肢も行政の役割の一部であることは事実なので、間違う可能性があります。問題文の内容に合致している行政の役割を選ぶ必要があるのです。
キーワードは問題文の中の「長期的」です。長期的な社会資本整備にあてはまる選択肢を選びましょう。エになりますね。
問4・・易
公債金が低下しているのはイしかありません。落としてはいけません。簡単すぎます。後半の記述はバブル景気についての記述ですが、それがわからなくても解けてしまいます。
▼大問6(1ミスで済ませましょう)
問1・・難
年代暗記はこの問題では有効でしたね。ただ年代の間隔がかなり空いているので、覚えていなくても対応は容易だったと思います。
ただ三国同盟はひっかけ問題でした。日独伊三国軍事同盟と早とちりした人もいたんではないでしょうか。第二次世界大戦前のものではありませんよ。第一次大戦前のものですよ。またECもEUではありませんからね。混乱した人もいるかもしれません。
間違えてもあまり気にしないで結構です。
問2・・易
OPECですから基本的に中東です。東南アジアでもインドネシアのように石油が出る国もありますが、国旗の説明より、サウジアラビアです。またグラフは「国内総生産が一時的に減少したが、1990年以降増加し続けた」とあるので、1990年前に一度落ち込んだということです。アしかありませんね。落としてはいけない問題です。
問3・・標準
記述問題ですが、グラフの読み取りをすると、①贈与が減って、貸付が増える ②資金協力より、技術協力が増えている。この読み取りができれば部分点はあるでしょう。そしてこれを踏まえて、この2点が何を意味するかを書ければ満点です。ただこれも問題文にヒントがあるんですね。③自助努力を促して、自主的な発展ができるようにする。要はお金あげただけ状態をなくすという点ですね。きわめて良問ですが、ヒントは問題文中に嫌というほど散りばめられています。
さていかがでしたでしょうか。
難問は多くありませんね。実際、「難」がついた問題は2問しかありません。
むしろ基礎知識をベースに問題文をしっかり読めば8割のラインは楽に目指せるはずです。
基礎知識は学校の定期テストをベースにしてもらえばなんの問題もありませんから、日々の学校の勉強を大事にして、塾や家庭では、問題演習を繰り返すことで知識の定着を図ってください。
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